阪神優勝の要因 固定と流動を使い分けた藤川監督
阪神優勝から一夜明けた今日、阪神優勝の要因を書きたいと思う。ただし、私の主観が多くを占めること、巨人サイドからではなく、フラットに立った目線であることにご留意願いたい(巨人V逸の要因は後日)。
圧倒的な野手陣 四球は奪うが欲しがらず
近本中野森下サトテル大山の5人の圧倒的な貢献度。その要因は二つある。
第一に後ろの野手の存在。特にサトテルにとっての大山だ。成績面では超一流ではないが、長年阪神の4番を務めてきた重みがある。彼がいることで、サトテルは自分で決めようとしすぎず、ある意味大山任せで打席に立てた。他の4人にも同じことがいえる。近本は中野に、中野は森下に。後ろの選手に責任放棄することで、重圧を感じずに打席に立てた。それぞれが尻を拭く、これが打線のあるべき形ではないか。
第二に序盤の打順コロ、もっといえば中盤でのポジコロの恩恵。有識者は阪神の強さを「野手陣の固定」と評したが、これは十分ではない。藤川監督は固定の脆さを理解している。完璧な体制を求めすぎると、それが瓦解したときに対応ができなくなる。昨年なら中野の不振、サトテルの三塁守備だ。藤川監督はこれへの対策として、序盤から中盤は野手陣を無理にでも動かした。結果的に負けが込む形にはなったが、固定化を防いだ形になった。仮に優勝がもつれたとき、ずっと固定ならスタメンは動かしずらい。これはプレーオフでも同じ。昨年のホークスは5番近藤を動かせなかった。先を見越した藤川監督は見事だ。
多くの野球ファンが疑問に思ったこと。それは野手の守備力の向上だ。これには前述のポジコロが関係している。特にサトテルだ。昨年まで三塁での拙守が目立っていたが、私の見解では三塁固定が原因。彼は軽いプレーでこそ本領を発揮できるタイプで、地に足がつきすぎると逆効果。外野を練習させることで、ルーキー時代の軽い、軽快なプレーが甦ったのではないか(実際、三塁起用ばかりの夏場はエラーも目立つ)。またサトテルは、守備と打撃が切り離せない選手。昨年までは守備で軽快にいけずに(丁寧にいきすぎて)エラー→雑な打撃で三振がお決まりのパターン。だが今年は、守備で雑に攻守→打撃では重く、集中力を保って取り組めた。その結果が今季の成績だと思う。
また、阪神の選手は四球が多いが、決して四球狙いでない点がいい。先ほど後ろの選手任せだといったが、これは100%そうではない。四球は20・30%くらいの比率であり、第一はヒットを打つこと。ヒットを打とうとしない選手に、投手はボール球を放らない。四球という刀はあくまで鞘に収め、いつでも抜ける状態なのが阪神打線。バスケでいうならば、ドリブルで抜ける選択肢も持ちつつ、相手が距離を詰めないなら3Pも打てる、みたいな感じだ。四球欲しがらず、されど奪う。その意識が上位打線だけでなく、捕手の坂本にも浸透しだした今季の阪神打線。数字以上に(数字も立派だが)相手投手が受けるプレッシャーは大きかったのではないか。
余力を残したままの投手陣
才木と村上は週頭で固定してイニングを喰わせ、他の投手に余力を持たせた藤川監督。怪我明けの大竹、復活したイトマサを無理させなかった結果、両者の質を下げることなく、早い時期からローテを任せた。伊原やディプランティエは後半まで持たなかったが、中盤までの貢献は素晴らしい。高橋も後半から投げだしたが、決して鞭を打つことはなかった(村上才木の活躍は計算していただろうが、個人的にはイトマサの復活がデカい、実績組の西orイトマサの活躍がカギを握るとシーズン前から予想していたが、ここまで復活するとは思わなかった)。
素晴らしかったのはリリーフ陣。石井の球史に残る快投、復活の湯浅、覚醒の及川など若手が活躍したが、決して誰かに依存することはなかった。ベテランの岩崎、昨年多く登板した桐敷も無理をさせず、リフレッシュを多くさせたのも見事。中継ぎ陣は数字ほど脅威に感じなかったし、阪神ファンも鉄壁だとは感じなかったと推察する。動かない山ではなく、あくまで自然のまま、まさに風のようなマネジメントの藤川監督。圧倒的な幹である野手陣がいてこそ、藤川監督が吹かせた風に、葉である投手陣はより生き生きと躍動した。
固定と流動、幹と葉を使い分けた・熟知した藤川監督は見事の一言。しかもただの優勝でなく、2位以下を寄せ付けない圧倒的な1位。他球団はまさに、勝負にすらならなかった・土俵にあげてもらえなかった1年となった。前述の5人の誰かが離脱しない限り、阪神がBクラスに陥ることは考えにくい。敵ながらあっぱれ!
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